暑かった夏も終わり、すっかり秋らしい気候になってきました。ぐっと涼しくなったこの季節に飲みたくなるのが「日本茶」です。
さて、「日本茶のパッケージ」というと、古風なデザインを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、サウダージティー株式会社が販売する、オーガニックの日本茶「サウダージティー」は、パステルカラーの色彩を特徴とした、斬新なパッケージデザインを展開しています。その洗練されたデザインは海外でも評価され、世界三大デザイン賞の一つ、ドイツの「iFデザインアワード2015」をパッケージ部門で受賞しています。
今回は、サウダージティーのパッケージデザインのこだわりについて、取締役・南 雅英さんにお話を伺いました。
「サウダージティー」のパッケージデザインにおける工夫
――サウダージティーのデザインには「ジャパニーズモダンシリーズ」「水彩画シリーズ」の2種類がありますが、それぞれにおいて、こだわった点を教えてください。
南さん(以下、南):私たちは、旧来の日本茶のパッケージデザインの概念をいい意味で壊すようなものを提示したいと考えていました。
そのため、特に「ジャパニーズモダンシリーズ」は、既存のパッケージデザインにはない「モダンさ」を演出できるように努めました。丸や四角といった模様は「茶葉・産地の特徴」を表しており、例えば「嬉野茶」であれば、嬉野茶特有の丸まった茶葉の様子を、「月ヶ瀬茶」であれば、奈良県月ヶ瀬地域で有名な梅の花を表しています。また、「霧島茶」は、霧島山から流れてくる霧をイメージしています。
「水彩画シリーズ」は、「産地の特徴」をかわいらしく、ポップに表現するようこだわりました。「嬉野茶」であれば、日本三大美肌温泉として有名な嬉野温泉と、それを眼下に見下ろす茶園、「静岡茶」は、富士山を仰ぎながら茶園で作業をする様子というように、各生産地域の特徴を茶園とともに描いています。
――このパッケージにした決め手は何ですか?
南:商品を「飲んでおいしい」のは当然として、パッケージを「見て楽しい」という視覚的な価値もお客様に提供したいと考え、このデザインにしました。同一商品で、2種類のパッケージデザインを展開しており、サウダージティーの ウェブサイトでは、お客様の好みや気分、用途に合わせてチョイスできるのが大きな特徴となっております。
パッケージデザインが海外で評価されている理由
――デザインの上で、特に苦労したこと・気を付けたことなどはありますか?
南:サウダージティーの購入層は、日本人にくわえて、海外からの旅行客もターゲットとしています。また、海外の友人へのギフトとして贈ってもらえるように、パッケージの側面や栞に日本語と英語で説明書きを入れているのですが、限られたスペースに文字を入れなければいけないことに苦労しました。
――サウダージティーのデザインは、海外でも注目を集めているとお聞きしました。具体的にどういった点が評価されているのでしょうか?
南:具体的な評価ポイントをお聞きしたわけではないのですが、おそらく、日本らしいデザインでありながら、伝統寄りになりすぎない「モダンさ」や「可愛さ」が、ギフトに向いているということでご評価いただけているのだと思います。
また、サウダージティーのロゴは、「茶」という漢字に、「Saudade」というアルファベットが組み合わさったデザインとなっています。「東洋と西洋の融合」という面白さも注目されているのかもしれません。
――パッケージ印刷業界に対して、ご意見などはありますか?
南:いつも、私たちの「こうしたい」という要望をくみ取っていただいています。「できません」と言われることはなく、「それなら、こういう方法があります」とご提案していただけるので、とてもありがたいです。私たちは、サウダージティーのお茶を購入いただいたお客様のご要望に耳を傾け、それをもとに改善していく必要があると思っています。当社から、デザインに関してリクエストを出したときに、いろんな解決策を提示していただけるとありがたいです。
「自然のおいしさ」をお客様にお届けできるよう、中身にも力を入れている
――「サウダージティー」の商品の魅力についてご説明ください。
南:サウダージティーはまず第一に、お茶そのものが安全で美味しいお茶であるかということに最も力を注いでいます。茶葉を選ぶ際は、「日本茶ソムリエ」の資格者が、実際に全国のお茶園を訪問して、お茶のクオリティはもちろん、茶園を見て、園主さんのお話を伺っています。
オーガニックで作られていて、なおかつ美味しいお茶を厳選することで、お客様に安心して飲んでいただける商品をお届けできるように努めています。その上で、お客様がお茶を選んだり飲んだりする時間を楽しんでいただくために パッケージデザインがあるということです。
また、コーヒーやワインは「産地・品種による味の違い」があることを、みなさんご存知だと思います。それは、日本茶にも同じことがいえるんです。1つのブランドで、産地・品種による日本茶の個性を体験していただけるのも、サウダージティーの特徴の1つだと考えております。
――詳しくお聞かせいただき、誠にありがとうございました。
【取材協力】
サウダージティー株式会社
ブランドサイト
http://saudadetea.com/