今年のバレンタインデーも、店頭にたくさんのチョコレートが並びました。パッケージデザインも可愛くオシャレなものばかりで、選ぶのに迷ってしまった人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな数あるパッケージの中から、とびきりの美しさを備えた「テオムラタ ショコラティエ Lueur rose」をご紹介します。日本文学からインスピレーションを受けてつくられたというこちらのパッケージは、ロマンチックで詩的な世界感が印象的。詳しく見ていきましょう。
パッケージ紹介
丸い筒状のパッケージでおなじみの、人気ショコラティエ「テオムラタ」。2023年のバレンタイン限定ショコラは、マットな質感の紫色が神秘的な「Lueur rose」です。フランス語で「リュウール・ローズ」と読むそうで、日本語では「光る薔薇」という意味を持ちます。
パッケージには、色鮮やかな「バラ」の絵柄が上下2ヵ所に。なぜバラなのかといえば、このチョコレートが【イチジクとローズのショコラ】だからでしょう。「バラ」の絵柄のほかにも、「白い廊下」が描かれています。すべて直線で構成されたグラフィックデザインは、まさに“モダン”といった風合いです。
ちなみに、こちらのデザインは3本入りの「桐箱セット」にも使用されており、平面で見ると一枚の美しい掛け軸のような趣です。上品で洗練された、オトナのデザインとなっています。
分析と個人的見解
公式サイトによれば、このパッケージのテーマは「源氏物語」なのだそう。「紫」を基調にしたデザインは、源氏物語のヒロインの一人「紫の上」にちなんだものか、はたまた作者の「紫式部」にちなんだものか。
また、「バラ」の絵柄は、作中にも登場する「平安のバラ」をモチーフに、上下2か所ある下の図柄は光源氏で上がそれを反転しバラの図柄となって描かれたそうです。「平安のバラ」というのは、一説によれば中国渡来の植物である「コウシンバラ」のこと。公式Instagramでは、パッケージに描かれた「バラ」について、下記のように説明されています。
「源氏物語の賢木の巻に登場するバラの花は、当時父帝を亡くした失望感と権勢の変化などで世を憂いた光源氏を慰める頭の中将の邸宅の庭に咲いていました。権勢を削がれてもなお美しい光源氏の後ろ姿と、この庭先に咲く美しいバラの花を重ねるように描いた図柄です。」
(テオムラタ公式Instagramより)
そんな、煌びやかなバラの咲く庭を望むことができる場所が、こちらも同じくパッケージに描かれている白い廊下なのでしょう。長く平坦なこの廊下は、おそらく「源氏物語」の舞台でもある平安時代を代表する住居・寝殿造りによく見られる “透渡殿(すきわたどの)”と呼ばれるタイプの廊下。寝殿造りにおける「建物と建物をつなぐ壁のない外廊下」を表しているのではないでしょうか。まさに、歴史や文学の香りが立ちのぼってくるようなモチーフ&デザインです。
このパッケージデザインを手がけたのは、グラフィックアーティストのカンタ・デロシュ氏。フランスと日本にルーツをもつアーティストで、パリと東京を拠点に活動しているのだとか。幼少期から、東洋のアートに触れる機会が多かったようです。そのため、その作品は視覚詩や日本美術に影響を受けたものが非常に多いことで知られています。
この「Lueur rose」のパッケージデザインも、お菓子のパッケージにはめずらしく情緒的なデザイン。見る人の心に訴えかけてくるような趣があります。SNSでも、次のような評判が見られました。
「フワッと薔薇が香るチョコレート
パッケージも素敵」(@kkikka5さん)「友達から届いた @theomurata さんのチョコレートの贈り物
デザインが秀逸過ぎて、開けるのも食べるのも、わくわく」(@chibikibiさん)「まだまだ種類があるしパッケージも可愛くお値段も手頃でギフトにオススメかも。
勿論、味もすごく良かった◎
他の味が買いたくなってます…」(@beontherighttrackさん)「テオムラタもパケ買い笑
種類がたくさんあって悩んだ〜!」(@nagi.1227さん)「ビーンズショコラ。
なんだこのおしゃれな筒。
(中略)
一つの商品をこれだけ
デザインできる凄さ。
こだわりが素敵すぎる。
大事にちみちみ食べよう笑」(@mo.rin_mo.rinさん)「夫へのバレンタイン
テオムラタのビーンズショコラ
バレンタインパッケージかわいい」(@mayu_marbleさん)
単なる「可愛い」や「美しい」を越えたパッケージデザイン。視覚から届くストーリーに、思いめぐらせてみるのも楽しいかもしれません。
<テオムラタ ショコラ商品ページ>