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2016年12月30日

うさぎや様に聞いた『やさしさ・ぬくもりを感じさせるレトロなパッケージデザインの工夫』

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年末年始、実家に帰省したとき、子どもの頃に食べたお菓子が置いてあると、懐かしい気持ちになるものです。お菓子を食べながら、家族や友達と楽しくおしゃべりをした記憶が思い出されて、心がとても温かくなります。

今回ご紹介する、栃木県宇都宮市の銘菓「チャット」は、そんなシチュエーションにぴったりの商品です。50年近く前に発売されたこの商品は、レトロでぬくもりのあるパッケージデザインが特徴的。そして、実はネーミングとデザインを手がけたのは、詩人・書家の相田みつを氏なのだそうです。

今回は、チャットの発売元「下野菓子処 うさぎや」の代表取締役・檜山昌彦さんにお話を伺いました。

「チャット」のパッケージデザインに込められた思い

まずは檜山さんに、相田みつを氏にネーミングとパッケージデザインをお願いした経緯を伺いました。

「50年近く前、相田さんは、栃木県に住んでいました。だから、県内のお菓子屋さんのパッケージデザインは多く手がけているんですよ。たまたま、うちにも寄ってくださったことがあって、先代とやり取りをして、『お願いします』という話になったようですね」

チャットは、年に1回、相田氏の美術館で販売されることもあるのだそう。また、相田氏はチャットの外箱以外にも、うさぎやさんの商品デザインを多々手がけています。チャットの包装紙や、「ゆずまんじゅう」「わた花」「田一枚」といったお菓子の包装紙も、相田氏デザインとのことです。

「チャットは、英語で『おしゃべり』という意味です。家族やお友達とのおしゃべりのお供に食べてほしい、という気持ちをこめて名づけられました。だから描かれているイラストも、小鳥たちがにぎやかにおしゃべりをする様子を表しています」

チャットのパッケージには、キョロキョロとした目つきがかわいらしい小鳥たちが並んでいます。確かに、こんな楽しいデザインのお菓子をお茶請けに囲めば、おしゃべりも弾みそうです。

有名な書家・版画家を起用した、歴史あるパッケージデザイン

昭和の情緒にあふれるチャットのパッケージですが、実は数年前にリニューアルをしているとのこと。現在のパッケージは、「チャット」と商品名が大きめに書かれていますが、以前は箱の上部スレスレに商品名が書かれ、イラストが全面的に印刷されていました。「商品名」を中心に据えたいというお考えの上での、リニューアルだったそうです。

また、チャットには「赤箱」と呼ばれる詰め合わせも存在します。そちらはラシャ貼りの大きな箱に、版画家である川上澄生氏の作品が印刷された掛け紙がかかっているそうです。ベージュ色を基調とし、帆かけ船が描かれているとか。相田氏や川上氏といった大御所を起用した安定感のあるデザインが、チャットの長年にわたる人気を支えていることは間違いないでしょう。

檜山さんに、パッケージ業界へのご要望を聞いたところ、「昔と比べて、写真が鮮明に印刷されるようになりましたし、書体もバラエティーに富んでいて、デザイナーさんの数も増え、嬉しい限りです。あとは、『金額』がもう少し安くなるといいですよね(笑)」とのこと。ぜひ、デザイナーや印刷会社の方は、ご意見を参考にされてみてはいかがでしょうか。

やさしさを感じさせる、なつかしい味わいが魅力的

最後に、「チャット」の商品の魅力についてご説明いただきました。

「チャットは、昔ながらのシンプルなお菓子です。白あん、バター、卵を使って焼き上げており、原材料の風味を味わっていただけます。特にターゲットは絞っておらず、色々な年齢層の方に幅広く食べていただきたいと思っています。ただ最近、昔、栃木に住んでいた方が、年末年始やお盆に帰省したときに、必ず買って帰るというパターンが増えているようです。ぜひ、チャットを食べていただいて、子どもの頃を思い出し、なつかしい気分に浸っていただければなと願っております」

口に入れるとふわっと白あんの風味が広がる、やさしい味わいが魅力のチャット。そのパッケージデザインにも、うさぎやさんの温かな気持ちが込められていることが分かったインタビューでした。

【取材協力】
下野菓子処 うさぎや

パッケージアイディア・戦略に関する資料やコンパッソの概要資料・見本帳