渡辺製菓様に聞いたパッケージデザインの工夫『カラフルな箱で、売り場を華やかに』

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今、お店では、様々なお菓子が売られています。「おせんべい」も、その内の1つです。さて、おせんべいのパッケージというと、みなさんはどのようなものを思い浮かべますか?きっと「透明な袋」を思い浮かべた方がほとんどではないでしょうか。しかしながら、かわいいキューブ状の紙箱に入ったおせんべいも存在します。その内の1つが、「藤五郎せんべい」です。

今回は、藤五郎せんべいのパッケージデザインのこだわりについて、渡辺製菓株式会社・企画室 辻寛子さんにお話を伺いました。

「藤五郎せんべい」のパッケージデザインにおける工夫

――藤五郎せんべいのデザインにおけるこだわりを教えてください。
辻さん(以下、辻):一般的に、おせんべいというと、「昔ながらのお菓子」「年配向け」というイメージがあります。そんなイメージから脱却できるように、かわいらしいデザインを心がけました。

――色使い・紙質でこだわった点はありますか?
辻:販売店さんが、売り場に商品を置いたとき、華やかになるように3種類の色を用意しました。また、若い世代へのアプローチとして、昔ながらの和風の色使いと、現代風の色使いをミックスさせて、「和モダン」の雰囲気を出しています。

ただ、あまり派手になりすぎても良くないので、色合いを落ち着かせるために、紙質はやさしいものを選んでいます。今、藤五郎せんべいを購入してくださっているのは、30~40代の女性が多いのですが、もともとのターゲットである年配の方にも手に取ってもらえるように配慮しました。

――キューブ状の形が、非常に特徴的ですね。
辻:販売店さんがディスプレイしやすいように、キューブ状にしているんです。キューブ状でしたら、重ねて陳列することができますし、パッケージの上部に紐がついているので、吊るしてディスプレイすることも可能です。

藤五郎せんべいのパッケージデザインにおいて、一番強く意識したのは、今、お話ししたような「売り場づくりのしやすさ」ですね。

手に取ってもらうためのアイディアが詰まったパッケージデザイン

――パッケージデザインにおいて、苦労したことはございますか?
辻:米菓は、「中身が見えないと、売れにくい」といわれています。お店で売られているおせんべいの多くが、透明の袋に入れられているのは、「売れやすいから」という理由があるんです。

でも、透明のパッケージにしてしまうと、デザイン性はなくなり、若い方は受け入れづらくなってしまいます。見た目のかわいらしさで手に取ってもらえるように、デザインは熟考を重ねました。紐がついているのは、お客様に手に取ってもらいやすいようにするためでもあるんですよ。

――贈答用として、藤五郎せんべい「みいろ御揃煎」「むいろ御揃煎」がありますね。丸い覗き窓から、中身を覗けるデザインが素敵です。
辻:藤五郎せんべいを、贈答用の箱に入れると、どんな味のものが入っているのかわからなくなってしまいます。そのため、外から見たときに、何が入っているのかを判別できるように、覗き窓を開けているんです。

――パッケージ印刷業界に対して、ご意見やご要望はありますか?
辻:うちは卸売業をメインに行っているのですが、最近は、お客様が「オリジナリティを出したい」とお考えになって、デザインに関して細かな要望を出されることが増えてきたんですね。でも、実際に印刷会社さんに相談すると、大ロットでの発注を求められて、困ってしまうこともあります。もちろん、小ロットでも印刷できる会社さんがあるのは存じているんですけれど、1個あたりの単価が高かったりすることが多いんですよね。

これからは、「個性の時代」になってくると思うんです。私たちは、お客様のニーズに合わせて、細かく作って、細かく売ることを心掛けているので、印刷会社さんもそのようにしてくださるといいなと思っています。

食べた方に「お米の香り」を楽しんでもらいたい

――最後に、藤五郎せんべいの商品の魅力についてご説明ください。
辻:藤五郎せんべいは、「お米の香り」を命とした商品です。パッケージの上部に貼ってある、味を見分けるためのシールも、そのような思いを反映させて「お米」の形にしてあるんですよ。お客様が食べたときに、口いっぱいにお米の香りが広がるように、製法にはこだわりを持っています。

――詳しくお聞かせいただき、誠にありがとうございました。

【取材協力】
渡辺製菓株式会社 保津川あられ本舗