「個」に分解して購入回数・購入点数増加を促進するパッケージデザインアイディア

かわいいデザイン
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手土産などを選ぶ際、カステラは定番の1つと言えるでしょう。長崎の名物として有名ですが、まさに日本における伝統的な菓子です。しかし今回ご紹介する『フクサヤキューブ』は、そうした伝統を保ちつつ、斬新とも言えるパッケージが魅力となっています。見た目、味、そして食べやすさ。他とはちょっと違う、そのパッケージデザインをご紹介しましょう。

パッケージデザインの紹介

パッケージ画像

赤や青、黄色など。色とりどりのカラフルな箱に小包装された『フクサヤキューブ』。一目見て、その中身がカステラだと分かる方は少ないでしょう。

パッケージには真ん中に切れ目があり、ここから左右にパカッと開くと、中から美味しそうなカステラがその姿を覗かせます。

形状はそのままに、『フクサヤキューブ』は季節・地域によってさまざまなデザインが作られているとのこと。例えば祝い事なら、「金銀白」「紅白」の特別色がマッチしそうです。そのほか、年末年始には2017年の干支である鶏のイラストを施したパッケージも販売されました。

カステラは砂糖が使われているため、そのまま手荷物と、ベタベタして嫌だという方がいるかもしれません。しかし『フクサヤキューブ』は1パッケージに2つのみ入っており、手の平サイズのため、箱のまま中身をいただくこともできるでしょう。

箱の中でさらに薄紙に包まれていますので、もちろん、この薄紙越しにカステラを持って食べることもできます。見た目だけでなく、食べやすさにも配慮されたパッケージです。

このパッケージデザインに関する個人的見解

カラフルで可愛らしいパッケージは、年齢を問わず親しまれるのではないでしょうか。手土産はもちろん、バレンタインやホワイトデーなどの贈り物としても喜ばれそうです。テーブルに並べておくだけで、インテリアとしての演出効果もありそう。

初めてそのパッケージを見る方なら、「これは、いったい何が入っているの?」と興味を引き立てられそうです。SNSを見てみると、『フクサヤキューブ』のパッケージデザインについて、実にたくさんの投稿がされていました。

「そだ!福砂屋のフクサヤキューブがちょうど5色で手土産にいいよね! 嵐メンバカラー(*´∀`)♪ 福砂屋は全国各地にあるけどねー。」(@ kamina1999_msさん)
「福砂屋さんのフクサヤキューブをいただきマシタ(*Q∀Q)!カワイイパッケージで、美味しくて食べやすいカステラなのデス(*Q艸Q*)福砂屋さんとイエバ、長崎カステラの老舗デスネ♪」(@ Query_chanさん)
「長崎に旅行に行ってた家族におみやげはフクサヤキューブがいいです!とリクエストして買ってきてもらった?。カステラが2個入ってるよ。食べ切りサイズでうれしい。」(@ earlyhoursさん)
「福砂屋のカステラが差し入れにあるとめっちゃテンション上がる…フクサヤキューブとか配りやすいし可愛いから嬉しい」(@ mfi70528_somさん)

やはり2個入りという手軽さ、そしてパッケージデザインの可愛さが人気のようです。特に印象的だったのは、若い層から人気が高いこと。カステラといえば上品でちょっと年上な方々の贈答品などに用いられるイメージがありますが、この『フクサヤキューブ』は別格のようです。このパッケージデザインについては、公式ホームページに次のような記載もありました。

「熟練した職人が、ひとつひとつ手づくりで作る伝統のカステラを、いつでも、どこでも、お楽しみいただけるようなキュートなお色の小箱にお包みしました。」(福砂屋公式ホームページ)

味わうだけでなく「楽しむ」という言葉。この言葉には美味しさを楽しむという以外に、パッケージという見た目の楽しみを含んだもののような気がします。これなら、自分用にもつい買ってしまいそうです。

このパッケージデザインから学べること

今回のパッケージデザインから、「デザインを変えることによる個売りの強化」を学ぶことができます。

「フクサヤキューブ」には、1箱に2切のカステラが入っています。それが5箱のパターンのパッケージデザインに包装されているので、合計10切になります。

逆に、1箱に10切入っているカステラもあります。

同じ10切でも、1箱と5箱ではその戦略は大きく異なります。

1箱に10切の場合、1箱当たりの単価が高くなるため、客単価の向上が期待できます。当然、1箱買えば10切あるので、お得な感じもします。その代わり、10切も要らないというような場合、購入されにくいです。つまり、購入回数が減る可能性があるのです。例えば、自分用に購入するというようなケースが少なくなります。

1箱に2切の場合、1箱当たりの単価が安くなるので、客単価は当然安くなりますが、その代わり、購入点数の増加や購入回数の増加が期待できます。1箱2切ということは、2箱買えば4切、3箱買えば6切というように、必要な量に合わせて組み合わせて購入できるからです。

必要な量を、必要なシーンに合わせて購入できるようになるため、購入回数の増加につながっていくわけです。

さらに「フクサヤキューブ」がパッケージ戦略としてうまいのが、5箱のパッケージデザインをそれぞれ変更していることです。こうすることで、組み合わせて購入する楽しさが生まれます。季節ごと、イベントごとに変えていくのも当然うまい戦略だと思います。

もし、あなたもパッケージデザインで悩んでいるなら、商品を「個」に分割して販売するようなパッケージデザインの戦略を考案してみてはいかがでしょうか?

購入点数の増加、購入回数の増加を促進するパッケージデザインアイディアになる可能性があると思います。