商品の魅力を的確に伝えるストーリー付きのパッケージデザインアイディア

和風デザイン
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今回のコラムでは、お客様の商品の魅力を的確に伝えるパッケージデザインアイディアをご紹介します。

洋食や中華をはじめ、今や誰しも世界中の料理を食事として味わうことができるようになりました。レストランへ行かなくても、家庭で気軽に調理できる品々も多く売り出されています。しかし日本人ならば、「やっぱり日本食が落ち着く」という方も少なくないはず。そして日本の食卓に欠かせないものの1つに、「漬け物」が挙げられます。

ぬか漬けや浅漬など、漬け方によって味の変わる漬け物。奈良漬をはじめ、地域によって特徴的なものもあります。素材を選べば、いつもの食卓に彩りを添えることもできるでしょう。今回ご紹介する大和屋守口漬総本家の「香よ味(こよみ)シリーズ」は、そんな漬け物の良さについてパッケージを通じて伝えてくれる、そんなデザインが施されています。

パッケージ紹介「香よ味シリーズ」

一目見て、その漬け物がどのような素材で作られているのかが分かる。それが「香よ味シリーズ」のパッケージデザインです。胡瓜や生姜、梅、竹の子など。漬け物の包装には、それぞれ漬け物の素材写真が印刷されています。

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これなら、中身がすぐに分かり、買う側にとって安心感があります。

素材となる野菜などが描かれたA3程度の白い紙を折って包装された漬け物。ただそれだけのシンプルなデザインが、かえって落ち着いた雰囲気を感じさせてくれます。オシャレでありながらも、日本の伝統的な“和のイメージ”の盛り込まれたデザインと言えるのではないでしょうか。このパッケージデザインは、『日本パッケージデザイン大賞 2015』で金賞を獲得しています。

このパッケージ戦略に関する個人的見解

自宅用にも、または贈答用にも喜ばれそうな「香よ味シリーズ」のパッケージデザイン。このデザインが生まれた背景を、「香よ味」という名称の由来から垣間見ることができます。大和屋守口漬総本家の公式サイトを見てみると、次のような一文がありました。

「漬物は昔から「香の物」と呼ばれてきました。その「香の物」を暦(こよみ)の一年の中で年中召し上がって頂きたいという思いからこの名称となりました。」

大和屋守口漬総本家公式サイトより引用】

古くから伝統ある漬物。年中食卓に並べられ、食べる楽しみを得てもらうためには、この漬物が人々にとって身近に感じられることが必要でしょう。「香よ味シリーズ」は素材写真が印刷されていますので、パッケージを開けるのが楽しくなってきます。

また、例えばパッケージのまま食卓に置かれていても、邪魔に感じるようなデザインではありません。並べられたパッケージを眺めながら、「今日はどれを開けようか」なんて選ぶのも良いでしょう。

さらに公式ホームページには、漬物作りに向けた次のようなメッセージも書かれていました。

「熟練された職人による丹念な手作りの味。お世話になっているあの方や、食通のあの方にもきっとお喜びいただけます。」

大和屋守口漬総本家公式サイトより引用】

心を込めて手作りされた、漬物へのこだわり。それは味付けだけでなく、素材選びにも言えることでしょう。パッケージの素材写真が、そのこだわり、そして自信を感じさせてくれるようです。あまり漬物に親しみのない世代、あるいは海外の方でも、「これは何だろう」「美味しそうだ」と手に取ってしまう。ユニークながら繊細なパッケージデザインと言えるのではないでしょうか。

このパッケージ戦略から学べること

今回、ご紹介したパッケージから、「商品ストーリーを伝えるパッケージアイディア」を考えたいと思います。

「香よ味シリーズ」のパッケージのポイントは、

「漬物の素材写真をパッケージに掲載。何が材料かが一目でわかる」
ということです。

ポイントをわかりやすくご紹介すると、たとえば、きゅうりの漬物であれば、パッケージにきゅうりの写真があり、「きゅうりの漬物」を食べていることが分かるわけです。

香よ味シリーズのパッケージ担当者様によれば、奈良漬はどれも同じ茶色であるため、「自分が何の奈良漬を食べているのか分かるように」という配慮、そして、「実は新鮮な野菜を漬けていること」を伝えるために生み出されたアイデアだそうです。

このアイデアにより、野菜が漬物になったというストーリーが伝わってきますが、ここで、もう一工夫アイデアを加えてみたいと思います。

たとえば、パッケージに2つの小窓を作るのはどうでしょうか。1つは素材写真の一部から中身の漬け物が見える小窓です。これを「小窓1」とします。そしてもう1つは、その漬物を食べる時の食卓のイメージ画像や漬物を食べる時のレシピが見える小窓です。これを「小窓2」とします。

そうすると、下記のようなストーリーが作れます。

まず、パッケージにはきゅうりの写真があります。これで素材の野菜がわかります。そして小窓1でそのきゅうりが漬物になったことがわかります。美味しそうかどうかを判断できます。さらに小窓2でその漬物をどういう風に食べると美味しいか?がわかります。

つまり、素材という野菜から、漬物という商品、そしてその商品をどう使うか(どう食べるか?)までのストーリーをパッケージで表現できるというわけです。

簡単なパッケージアイディアですが、お客様の商品の良さを的確に伝えることができる気がします。あなたの扱っている商品でも取り入れてみてはいかがでしょうか?