商品の新しい使い方とイメージを作り出すパッケージデザインアイディア

かわいいデザイン
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日本人の食卓において、誰にでも身近な味噌汁。家庭それぞれの味があり、久しぶりに食べると懐かしさを感じる方は多いでしょう。味噌はもちろんのこと、具材によって味わいが変わる点も、味噌汁の良さかもしれません。そんな味噌汁をより気軽に楽しめるよう、小分けにパックされてお湯を入れるだけという即席味噌汁も販売されています。

今回ご紹介するのは、味噌をメインとした老舗食品メーカー・マルコメの即席味噌汁『おみそしるのうた♪』。味も去ることながら、味噌汁の持つ懐かしさ、あるいは優しさを感じられるパッケージデザインが目を引きます。

パッケージデザインの紹介

『おみそしるのうた♪』は、2016年10月28日?11月6日に東京ミッドタウンで開催されたイベント『Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2016』で展示されました。これは、“暮らしになじむ、心地よいデザイン”をコンセプトとしたイベント。『おみそしるのうた♪』は筒状のパッケージ内に20食の個包装された即席味噌汁が入っています。

真っ白な筒の側面には、優しい色使いで遊び心のあるイラストが描かれています。葉っぱのように見えるかと思えば、野菜のようにも見える。このイラストは、筒の中に入っている個包装のパッケージに連動しているようです。パッケージに入っている味噌汁は以下の4種類。イラストは、これらの中身をイメージしているように思えます。

・やさい
・とうふ
・しじみ
・とろろこんぶ

パッケージデザインを見ながら「今日はどれにしようか」なんて、選ぶ楽しさも演出されたパッケージです。筒のまま自宅に置いておくことはもちろん、職場などへお弁当と一緒に持っていったり、あるいは引き出しにストックしておいたり。パッケージが筒と個包装とで二重になっているため、使い方も広がりそうです。

このパッケージデザインに関する個人的見解

味噌汁という身近なものだからこそ、手にする頻度が高くなります。即席味噌汁のパックを取って開封し、椀にあけてお湯を注ぐ。この何気ない一連の流れに、デザインは“楽しさ”を加えてくれるのではないでしょうか。優しい色使いのイラストは、見るだけで心を温めてくれるような気がします。このパッケージデザインについては、プレスリリースに次のような記載がありました。

『“暮らしになじむ”遊び心。本商品では、うるおいのあるビジュアルに止まらず、みそ汁の種類に合わせてオリジナルの「おみそしるのうた♪」を作りました。「やさい」は“やさしいやさい”、「とうふ」は“うふふのとうふ”、「しじみ」は“しみじみしじみ”、「とろろこんぶ」は“とろとろとろろこんぶ”と名付けています。また、それに合わせてパッケージには唄が聞こえてきそうな軽やかで楽しい気分になるデザイン、食卓のテーブルに置いておきたくなる円筒型を採用しました。』

(プレスリリース)

1つ1つの個包装パッケージに、商品名にある“うた”の意味の込められたデザイン。パッケージをあけて味噌汁を作りながら、「うふふのとうふ?♪」なんて歌い出す姿が浮かんできました。テーマソングを作ってCMなどに流したら、子どもたちを中心に口ずさまれるようになりそうです。

いつもの食卓に笑顔が増えそうなパッケージデザイン。2016年11月内より販売が予定されており、スーパーなどの陳列棚も、その優しいデザインで包み込んでくれることでしょう。

このパッケージデザインから学べること

今回のパッケージデザインから、「商品の新しい利用シーンやイメージの作り方」を学ぶことができます。

まず、『おみそしるのうた♪』の下記のプレスリリースの記事では、「即席みそ汁にみえないパッケージが新しい」とあります。

プレスリリース記事

これはどういうことでしょうか?

そもそも、『おみそしるのうた♪』のパッケージは、「暮らしに馴染む」をコンセプトにデザインされています。商品は、即席みそ汁ですので、「即席みそ汁がもっと暮らしに馴染むように」という目的を持ったデザインということです。

「もっと暮らしに馴染む」というのは、自宅だけでなく、外出先(オフィスなど)でもみそ汁を飲んでいただくこと意味します。もっと暮らしのいろんなシーンでみそ汁を飲んで欲しい、それこそが「暮らしに馴染む」という意味です。

この時、今までの即席みそ汁のパッケージの場合、見ただけでみそ汁と判断できるようなデザインになっています。このようなデザインだと、ちょっと持ち歩くのは抵抗があります。特に女性など、恥ずかしいというような印象もあるのではないでしょうか。

それを良い意味でぶち壊しているのが、この『おみそしるのうた♪』のパッケージデザインです。

「即席みそ汁にみえないパッケージが新しい」とあるように、パッケージを見ただけではみそ汁と判断することができません。さらに、「やさしいやさい」というように、みそ汁そのものにも、気軽さ感がでるような商品開発をしています。

この結果、今までの即席みそ汁では難しかった即席みそ汁の新しいイメージを打ち出すことに成功しています。パッケージデザインのアイディア1つで、こういった新しい価値の提案を実現しているから面白いですね。

商品のコンセプトにこだわったデザインもよいですが、新しい利用シーンやイメージを創造しながらデザインアイディアを考えることも重要であると認識できる面白いアイディアだと思います。

みなさんの扱っている商品でもこういったデザインアプローチができるといいですね!