商品の特性をパッケージの「形」で表現するホログラムカラーのパッケージデザイン

かわいいデザイン
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美容品を選ぶ際には、パッケージにも「美しさ」「可愛らしさ」を求める方が多いはず。特に美容への関心が高い方であれば、可愛らしい、あるいはキレイなものを使いたいと思うことでしょう。品質と見た目。今回ご紹介するヤクルト社の『パラビオ ACクリーム サイ』は、この2つを兼ね備えたクリームと言えそうです。

パッケージ紹介「パラビオ ACクリーム サイ」

『パラビオ ACクリーム サイ』は肌に使用する美容クリーム。クリームが入っているのはプラスチック製の丸型容器です。これ自体は、あまり特徴的ではないと感じるかもしれません。しかしこの容器は、とても奇抜な紙製の箱に入れられています。

箱は特別なデザインが施されているわけではなく、製品名等が記載されたシンプルなパッケージ。しかしホログラムカラーが用いられており、見る角度によって白やピンクなど色合いが変わって見えます。

さらにフタを開けると、そこには四隅が面折りされ、まるで花が咲いているかのように広がった斬新なデザインが。このパッケージデザインは、「2013日本パッケージングコンテスト」において「パッケージデザイン賞」に輝きました。

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このパッケージデザインに関する個人的見解

可憐に咲いた花々のように、美しくキレイな肌にある。このパッケージは、そんな製品イメージを与えてくれるのではないでしょうか。花の形状は可愛らしくもありつつ、しかしホログラムカラーによる幻想的なカラーが美しさも感じさせてくれるようです。どことなく、高級感のあるデザインです。

パッケージデザイン賞を受賞した際のプレスリリースには、このパッケージについて次のように述べられていました。

「容器は、ラグジュアリー感と内面から光を放ち“輝くお肌”を表現しました。多面体を少し窪ませることで、グリップ性を高めました。
2.箱は、4隅を面取りして安全性を高め、開けた時に花が咲くように、肌が輝き始める瞬間をイメージしました。色を落ち着かせたホログラムカラーは、どの角度から見てもきれいな理想的なお肌を、側面の三角形エンボスは、お肌のふっくら感を表現しています。
3.蓋は、内側天面に不織紙を挟み、運送キズを防止しました。
4.蓋、箱、台座が全て紙素材で、箱内面が能書となっています。また、蓋は折り畳んで処分が可能です。」

ヤクルト プレスリリースより引用】

肌が輝き始める瞬間を、パッケージから消費者に連想させてくれる。さらにはグリップ性という面で使いやすさにもこだわられており、ニーズを追求した末のデザインであることが伺えます。

美容クリームは、恐らく毎日手に取って使うものとなるでしょう。フタを開けてクリームを塗る。この一連の流れは、多くの場合において特に気にすることのないルーチン作業となるはずです。しかしこのパッケージデザインは、“箱を開ける”という行為そのものに楽しみや喜びも提供してくれるのではないでしょうか。いつもの日常に、ちょっとだけ特別感が加わりそうです。

もちろんフタをした状態では、この花のように開くデザインは分かりません。しかしホログラムカラーに目を引かれるため、ついつい手に取ってもらえそう。形状による工夫だけでなく、「手に取る」という最初の行動にまで目を向け、より多くの人々に親しまれるようにという狙いが感じ取れます。

このパッケージデザインから学べること

今回のパッケージデザインから、商品の特性を「パッケージの形」で表現する方法を学ぶことができます。

「パラビオ ACクリーム サイ」のパッケージの特徴は、蓋を開けた瞬間に花が咲く「パッケージの形・形状」にあります。

私はパッケージデザインのプロではありませんが、パッケージデザインではなく、パッケージの機能的な形状でここまで商品の特性を表現したというパッケージアイディアには、衝撃を受けました。

おそらく、開けた瞬間に、蓋の内部に収まっていた紙の花が、まるで呪縛から解放されたかのようにぱぁっと広がるのでしょう。その広がる瞬間は実物を見なくてもイメージできます。

パッケージというと、ついついデザインにこだわってしまいがちですが、こういった工夫も1つのアイディアになるんですね!

美容クリームという商品のパッケージとして、「蓋を開けると花が咲く」というパッケージによる演出は、商品の価値を何よりも表現する面白いアイディアだと思います。

デザインだけにとらわれず、こういった演出を実現するパッケージの形にも、アイディアを盛り込んでみてはいかがでしょうか?