パッケージデザインのアイディアを考える思考プロセスをボディシャンプーのパッケージデザインから考えてみた

かわいいデザイン
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毎日の入浴で使う、ボディシャンプー。ただ肌をキレイに洗い流すだけでなく、保湿性などにこだわるケースも少なくありません。香りのついた製品も多く、好みに合うボディシャンプーを探している方も多いでしょう。

ボディシャンプーを探す際には、もちろん成分表記や説明文を読むはずです。しかしパッケージデザインから読み取れるイメージも、大切な判断材料の1つとなるのではないでしょうか。今回ご紹介するポーラの「オー ド フルール フレグランスボディシャンプーセット」は、ボディシャンプーの中身だけでなく、パッケージにもこだわった商品と言えそうです。

そしてこのパッケージから、「パッケージデザインの思考プロセス」の一例を見いだすことができそうです。

パッケージ紹介「オー ド フルール フレグランスボディシャンプーセット」

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濃紺のパッケージに、白いカサブランカと赤いバラがあしらわれたデザイン。このパッケージは、「日本パッケージデザイン大賞2015」に選ばれました。シンプルながら目を引くそのデザインからは、上質かつエレガントな雰囲気を感じられるでしょう。特に大人な女性には、魅力的なデザインといえそうです。

そして外箱を明けると、同じく白と赤のボトルに入ったボディシャンプーが現れます。ボディシャンプーは仕切りで分けられており、「どちらを使おうか」と、つい迷ってしまうかもしれません。パッケージデザインから受ける印象が商品イメージに直結する、期待を裏切らないデザインといえるのではないでしょうか。

尚、ボディシャンプーはそれぞれ、白がカサブランカ、赤がバラの香りとなっています。この点もまた、そのままパッケージデザインに反映されているのです。パッケージを開けた後に手に取る商品、さらには使用後の香りまでが、パッケージデザインに表現されています。

このパッケージ戦略に関する個人的見解

パッケージデザインで商品を選んだ際には、「イメージと違った」などと落胆してしまうことがあるでしょう。しかしこの「オー ド フルール フレグランスボディシャンプーセット」は、商品そのものがパッケージにデザインとして反映されています。商品名である「オー ド フルール」は「花の水」を意味し、その華やかなコンセプトが体現されたパッケージデザインといえるのではないでしょうか。

公式サイトを見てみると、そこには「オー ド フルール フレグランスボディシャンプーセット」について次のように説明が書かれていました。

「甘くエレガントな香りで女性に人気のローズと、上品ですがすがしい香りがファミリーでのご使用におすすめのカサブランカ、2つが楽しめるボディシャンプーセット。」

ポーラ公式サイトより引用】

エレガントさと上品さ。この2つが共存する商品イメージは、まさにパッケージに描かれたカサブランカとバラの絵に象徴されているでしょう。パッケージ全体に大きく描かれながら、しかし主張しすぎないカサブランカとバラの絵。落ち着きあるこのデザインは、自分で使うのはもちろん、プレゼントとしても喜ばれそうです。

このパッケージ戦略から学べること

では、このパッケージから学べることを考えてみましょう。今回のパッケージから、「パッケージデザインを考えるための思考プロセス」の一例を学ぶことができます。

しかも、お客様目線で。どういうことが、詳しくご紹介しましょう。

「オー ド フルール フレグランスボディシャンプーセット」のパッケージで目につくのは、「カサブランカ」と「バラ」です。

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なぜ、パッケージデザインのメインにカサブランカとバラを打ち出したのでしょうか?単純な理由としては、商品の香りと連動させるためだと思いますが、私はそれだけではないと考えています。

まず、今回の商品は「ボディーシャンプー」ですので、ボディーシャンプーについて、ネットで購入者の意識を調査しました。すると、下記のような調査結果を紹介しているページを見つけました。

参考サイト:8月~11月発売新商品の「シャンプー・コンディショナー・ボディソープ」に関する認知度・認知経路・購入度・購入理由調査

上記のサイトで報告されているのは、下記の点です。ただし、ある特定の新商品に対する調査なので、「オー ド フルール フレグランスボディシャンプーセット」も当てはまるとは限りませんが、参考になるとは思います。

(1)商品を知ったきっかけは、店頭が圧倒的に多いこと(50%から70%)
(2)購入の決め手は「香り」が30%程度、メーカーも30%程度、パッケージデザインが10%程度あること

つまり、店頭で商品を知り、香りとメーカー、そしてデザインを見て購入を決めるというような流れがあるということです。この流れをまとめると、下記のようなパッケージデザインの思考プロセスが出来上がります。

(1)商品はどこで購入を検討されるのか?
「ボディーシャンプー」の場合は「店頭」でパッケージを見て検討することが圧倒的に多い

(2)購入を決める要因は何か?
「ボディーシャンプー」の場合は「香り」の要因が強い

(3)上記、(1)(2)を満たすパッケージデザインは何か?
「店頭で香りを一瞬で伝えるためにバラとカサブランカを大きく打ち出すデザインが必須」

このプロセスで考えれば、「どこで検討するか?」「購入の決め手は何か?」を知った上で、パッケージデザインを考えるということになります。

今回の場合は「店頭で購入を検討し、香りが決め手」なので、「カサブランカとバラの香りを表現するパッケージデザイン」となっていると考えられます。もし、購入の決め手が「泡立ちの良さ」であれば、「カサブランカやバラ」を中心にしたデザインではなく、「泡」を中心にしたデザイン案になるでしょう。
あくまで私の個人的な分析ですが、今あなたが扱っているパッケージデザインも、商品特性やコンセプトだけでなく、「どこで購入を検討されるか?」と「購入の要因は何か?」をしっかり把握した上で、デザイン案を考えてみてはいかがでしょうか??特に購入要因を知ることは、デザイン案を考える上で非常に重要なことです。店頭で判断されるわけですからね!

<写真URL>
http://net.pola.co.jp/beauty/products/html/item/002/015/item142701.html
http://www.jpda.or.jp/jpda-award/2015/awards/