全国的に展開し、多くの方々にとって身近なコンビニエンスストア。そのほとんどは24時間のため、頻繁に利用しているという方は多いでしょう。短いランチタイム、あるいは遅くなってしまった日の夕食に、コンビニでおにぎりを買って食べる。そんな経験をお持ちの方は少なくないはずです。
同じおにぎりでも、当然ながら製造者によって味は異なります。しかし「どれにしようか」を選ぶ際、恐らくパッケージを1つの基準に選ぶ方は多いことでしょう。パッケージから中身や味を予想し、その日の気分に応じておにぎりを選ぶ。『ローソン おにぎり屋 郷土(ふるさと)のうまい! シリーズ』は、特にそんな消費者の目を引くパッケージと言えそうです。
パッケージ紹介
『ローソン おにぎり屋 郷土(ふるさと)のうまい! シリーズ』は、ローソンのオリジナルブランドである「おにぎり屋」が10周年となったことを機に、期間限定で販売されました。「宮崎のうまい!黒瀬ぶり照焼」を初めとして、月1?2品ずつ期間を区切って販売したとのこと。こだわり抜いた各地の“旨いもの”を具材として、バラエティ豊かなラインナップとなっています。
パッケージは1つ1つ種類別に大きく異なります。製品名が記載されていることはもちろん、イラストを用いて具材をイメージできるデザイン。色鮮やかなパッケージは、見る人の目を惹きつけます。いずれも中央には紅色の“飾り紐”が描かれ、「○○のうまい!」と対象地域名も記載されたデザインです。
パッケージデザインの詳細は下記をご覧ください。
http://www.lawson.co.jp/recommend/umai/
このパッケージデザインに関する個人的見解
このパッケージデザインは、まるで駅弁のように見えます。優しい色使いとイラストは、どこか懐かしく、落ち着きのようなものを感じられるのではないでしょうか。どれも強い色合いが用いられているのですが、しつこさはなく、おしゃれな絵画のようにすら思えてきます。「日本パッケージデザイン大賞2015」では銅賞に輝いていますが、この素朴さが高く評価されたのではないでしょうか。
ローソンの商品特設ページを見てみると、次のような言葉が綴られていました。
「郷土(ふるさと)のうまい!シリーズは、各地の郷土に散らばる美しい料理・食材を発見し、全国に発信していくシリーズ。お客様にとって、懐かしい味や食べたことのない新しい味で『驚き、楽しみ、美味しさ』をお伝えします。各地の郷土料理・食材を通して、日本の良さを再発見いただきながら、日本を元気にしたいという想いが詰まっています。」
【ローソンコーポレートサイトより引用】
例えば自身の故郷を思い出しながら、あるいは、まだ足を踏み入れたことのない場所をイメージしながら味わう。そのうえでパッケージは、ただ食材が何なのかだけではなく、その土地の雰囲気まで伝えてくれているのではないでしょうか。表情の異なる製品毎のパッケージデザインは、そのまま各地の特徴を表現しているのかもしれません。
いつもなら捨ててしまうパッケージ。しかしこの製品は、パッケージデザインを眺めながらおにぎりを食べるなんていうのも良さそうです。
また、このパッケージは眺めているだけでも楽しめることでしょう。牛など素材のみが描かれたものから、景色を交えたもの、あるいはシンプルに文字と背景デザインだけのものまで。もしかしたら、すべてのパッケージを集めたいという方がいるかもしれません。味覚だけでなく視覚から楽しませてくれるパッケージは、おにぎりという製品において斬新と言えるでしょう。その両軸から、自分だけの“お気に入り”を見つけてみるのも楽しみとなりそうです。
このパッケージデザインから学べること
今回のパッケージデザインから、「ベンチマーキングによるパッケージデザインで商品の魅力・こだわりを瞬時に伝える方法」を学ぶことができます。
『ローソン おにぎり屋 郷土(ふるさと)のうまい! シリーズ』のパッケージを改めてもう一度ご覧ください。
『ローソン おにぎり屋 郷土(ふるさと)のうまい! シリーズ』のパッケージ
上述していますが、まるで駅弁のようなデザインです。これは、私見ですが、駅弁のパッケージデザインを「ベンチマーキング」していると考えられます。
「ベンチマーキング」とは、マーケティング業界の定義でいえば、「他社事例を取り入れてアレンジすること」という意味で、今回のケースで言えば、駅弁業界のパッケージデザインを取り入れ、アレンジしていると言えます。
ここでポイントになるのは、なぜ駅弁業界か?ということです。
そもそも、『ローソン おにぎり屋 郷土(ふるさと)のうまい! シリーズ』は、ローソンの特設サイトにもあるように、全国の美しい料理・食材を発信していく商品です。
そして、駅弁と言えば、「全国のご当地グルメの定番」といっても過言ではない商品です。
そのため、駅弁の「全国のご当地グルメの定番」というイメージをベンチマーキングして、『ローソン おにぎり屋 郷土(ふるさと)のうまい! シリーズ』のパッケージデザインとしてアレンジすれば、「全国の美味しい食材を使った美味しいおにぎり」という印象を瞬間的に伝えることができるようになります。
これこそが『ローソン おにぎり屋 郷土(ふるさと)のうまい! シリーズ』のパッケージデザインの狙いなのではないでしょうか?
そう考えると、他の業界からデザインイメージをベンチマーキングすることは、商品の魅力やこだわりを瞬間的に伝える点において、非常に効果的であると考えられます。
あなたの担当する商品でも、ベンチマーキングできる他社事例がないか、考えてみてはいかがでしょうか??