店頭で買う理由を作り出すパッケージデザイン!切って開いて楽しめるユニークな牛乳パックのご紹介

かわいいデザイン
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全国各地には、それぞれの地域によってシンボルと言える名産品や生き物、あるいは歴史的人物などがいるものです。例えば土産物にそのシンボルを模した製品を販売したり、あるいは名前を用いたりすれば、地域をより広く知ってもらうことにも繋がるでしょう。

これはもちろん、特別な製品だけに言えることではありません。毎日のように利用する日用品から食品ならば、なおさら愛着が湧いてくるというもの。今回ご紹介する「佐渡牛乳 トキパック」は、まさにそのシンボルを用いたパッケージとなっています。

パッケージ紹介「佐渡牛乳 トキパック」

形状は、誰もが知っている牛乳パック。中身の牛乳と同じく白いパッケージには、上部に目玉のようなものが。側面には製品名などの文字。そして、弓なりに赤い三本線が描かれたパッケージです。

トキパックtiki
【佐渡乳業公式サイト】

一見すれば、なんの変哲もない牛乳パックに思えるかもしれません。しかしこのパッケージ、実はトキをイメージしたものとなっています。

牛乳を飲み終えた後にある楽しみ。パッケージをハサミで切ると、牛乳パックに羽とクチバシが現れ、トキが羽ばたく姿へと早変わりします。パックが閉じたままだと隠れている三角形の凹み部分は、それぞれ赤いクチバシと白い尾っぽに。そして弓なりの赤い三本線は、羽の模様となっているのです。佐渡のシンボル「トキ」を模した牛乳パックは、多くの人に親しまれやすいデザインと言えるでしょう。

このパッケージ戦略に関する個人的見解

目玉が描かれていることで、なんとなく「開いたら何か出てくるのでは?」と気づく方は多いでしょう。パックを開いた後の姿をイメージすると、牛乳を飲み干すのがちょっと楽しみになりそうなパッケージデザインです。牛乳が苦手な子どもでも、このパッケージならチャレンジできるかもしれません。Twitterでも、この「トキパック」についてさまざまな声が寄せられていました。

「トキパックかわいい。佐渡もまた行ってみたいねぇ…」(@makinyoppi1)
「パッケージホントにかわいいからもし行く機会があったら買ってみたい」(@marching1967)
「パックのデザイン素晴らしい。シンプルでありながら一目で分かり、よそでは真似できない。」(@daichyan)
「トキパックかわいいなー飲むのはいつも安い牛乳です…」(@monin210)

普通ならば、すぐリサイクルに回されてしまう牛乳パック。しかしこの「佐渡牛乳 トキパック」は、飲んだ後も飾ったり、遊んだりできます。耐水性に優れた牛乳パックですから、お風呂のおもちゃとして活躍するかもしれません。中に水を入れ、じょうろの代わりにするのも良いでしょう。

佐渡乳業のホームページを見ると、次のような一文が書かれていました。

「佐渡旅行のお土産や大切な人への贈り物などに各種ギ フトセットもご用意しております。」

【佐渡乳業公式サイトより引用】

トキパックをお土産にすれば、佐渡を訪れていない人でも「佐渡といえばトキなんだ」と知ることができるでしょう。可愛らしいトキのパッケージは、子どもにも喜ばれそうです。もちろん旅行に行った際、思い出として購入するのにも良いパッケージデザイン。佐渡を多くの人々に知ってもらい、トキに愛着を持ってもらうという点からも、ユニークながら効果的なデザインと言えるでしょう。

このパッケージ戦略から学べること

今回のパッケージから「買う理由を作り出すパッケージデザイン」を学ぶことができます。

牛乳パックには、有名メーカーから地元のメーカーまで、様々な牛乳があります。当然、店頭にはたくさんの牛乳パックが並んでいます。その中で、この「佐渡牛乳 トキパック」が選ばれるには、牛乳の味だけでなく、店頭で「選ばれるパッケージ」にならなければなりません。

しかし、これは非常に難しいことなのですが、このトキパックからそのヒントが得られると思います。

そもそも、買い物するのは、ほとんどが女性で、かつ主婦であることが多いです。その根拠として、下記の「ハイライフデータファイル2012 都市生活者意識調査レポート」によると、食品スーパーの利用率は女性が男性の1.5倍ほどもあり、全世代では、女性の利用率は80%を超えているようです。

ハイライフデータファイル2012 都市生活者意識調査レポート P6参照

つまり、このことから、牛乳を購入するのは、女性が多いということが言えます。

このデータを踏まえて、「トキパック」は、女性が佐渡牛乳を購入する理由をうまく作り出していると、私は考えています。

このトキパックですが、牛乳を飲んだ後、ハサミでちょきちょきするとトキが羽ばたいているようなイラストが出現します。これが「買う理由を作り出す大きなポイント」です。

このような工夫があると、下記のようなシーンでパッケージを活用することができます。

(1)パパと子供が日曜日に牛乳パックで工作する
(2)子供が学校に牛乳パックを持って行き図工の時間で使う

要するに、飲むだけでなく、親子の交流や学校での活用が期待出来るパッケージであるというわけです。

これが「買う理由を作り出す」につながっています。子供が母親に、「今度、図工の時間に牛乳パックがいるから、トキのやつ買ってきて」とお願いする、そんなシーンが目に浮かぶようです。そのように頼まれると、母親も売り場・店頭でトキパックを探すでしょうし、トキのイラストが「アイキャッチ」になって売れるということにつながるでしょう。

学校によって使える・使えないなどあるかもしれませんが、少なくとも何もない牛乳パックよりは子供達も図工が楽しくなるのではないでしょうか?皆さんもこういったパッケージの使い方を考え、「買う理由を作り出すパッケージ」を考案されてみてはいかがでしょうか?