ゴッホの作品を活用したパッケージデザインからパッケージ戦略の差別化のヒントを学ぶ

かわいいデザイン
Pocket

バレンタインデーはもちろん、多くの方々に愛される洋菓子「チョコレート」。甘いものからほろ苦いものまで、その種類はさまざまです。板チョコやマーブルチョコ、あるいは贈答用のキレイなものまで、お店に並んでいるチョコレートを見るだけで目移りしてしまうでしょう。

そんなチョコレートの楽しみは、味だけではありません。思考を凝らしてデザインされたパッケージ。その蓋を開けることも、ドキドキする楽しみな瞬間といえるのではないでしょうか。特に贈り物であれば、そのドキドキ感もひとしおです。

今回ご紹介する『ゴッホ<ばら>チョコレート』は、まさにその楽しみを味わわせてくれるオシャレなパッケージのチョコレート。手にとってそのデザインを眺めているだけで、「いったいどんなチョコレートが飛び出すのか」と心踊らされます。

パッケージ紹介「ゴッホ<ばら>チョコレート」

パッケージの形状は丸い筒型。側面には『Vincent van Gogh “Roses” Chocolate』(ゴッホ<ばら>チョコレート)と、商品名が金色で書かれています。白地に金がよく映え、これだけで高級感が漂ってくるかのようです。

パッケージの写真

さらにパッケージ上部には、美しく描かれた薔薇の絵が。この絵は、まさに有名な画家であるフィンセント・ファン・ゴッホの作品『ばら』の一部です。美術館などで見たことのある方もいらっしゃるでしょう。

色鮮やかな緑色に、主張し過ぎないピンク色のバラの花。ただ眺めているだけで、その世界に吸い込まれてしまいそうなデザインです。それと同時に、「どんなチョコレートが中に入っているのか」という好奇心も掻き立てられます。

パッケージの蓋を開けると、そこに現れるのは薔薇の形をしたチョコレート。優しげな白とピンクのチョコレート5つが、落ち着いたまさに“チョコレート色”のバラのチョコレートを囲っています。パッケージデザインからの期待感、そして第一印象を、最後まで損なわない演出といえるのではないでしょうか。

このパッケージ戦略に関する個人的見解

この『ゴッホ<ばら>チョコレート』は、インターネット限定という国立西洋美術館のオリジナル商品。『ばら』という芸術作品と同様、その作品を表現したチョコレートもまた、特別だという意味合いが感じ取れます。ゴッホのファンはもちろん、プレゼントとしても大きな特別感があるのではないでしょうか。
実際に『ばら』の一部が描かれたパッケージはもちろん、これはチョコレートという商品を含めた全体で、その作品を表現しているように感じます。

販売元であるメサージュ・ド・ローズは、どんな思いをもってこうしたパッケージのチョコレートを作っているのか。公式サイトには、次のようなメッセージがありました。

「古代から美と愛の象徴だった「薔薇」。ギリシャやローマでは、結婚式のある家や出帆・帰帆する船、また凱旋将軍の車などを薔薇で飾ったと言います。そんな幸せに包まれたバラを、芳香豊かなチョコレートで表現できたら、もっと気持ちを伝えられるはず・・・。店名はフランス語で”薔薇のメッセージ”メサージュ・ド・ローズはそんな思いから生まれました。1989年の創業以来、美しいバラを育てるように、デリケートな技術と細やかな心づかいで、セピアの花びらをひとつひとつ手で重ね、心を込めて仕上げています。チョコレートの本場、フランスで認められた原料と、日本の繊細な技術の融合によって生みだされたスイートなバラが、あなたのメッセージを気品高くお届けいたします。」

メサージュ・ド・ローズ公式サイトより引用】

職人によってこだわり抜かれたチョコレートは、まさに芸術と呼ぶにふさわしいでしょう。そしてメサージュ・ド・ローズにとって、『薔薇』とは幸せを表現するもののようです。その幸せを多くの方々に届けるため、1つ1つ仕上げられたチョコレート。だからこそパッケージにも、見る人を幸せにするようなデザインが選ばれているように思います。

『ゴッホ<ばら>チョコレート』は、中身を食べ終わっても残しておきたいほど美しいデザインです。食べて終わりではなく、その後も目を通じて人々に幸せを感じてほしい。そんな思いが、このパッケージには込められているのではないでしょうか。

このパッケージ戦略から学べること

今回、ご紹介したパッケージから、「パッケージデザインによる差別化」を学ぶことができます。

『ゴッホ<ばら>チョコレート』のパッケージには、下記に様な4つの要素があり、その結果、「特別感・高級感」が向上し、パッケージによる差別化を強化しているように感じます。

『ゴッホ<ばら>チョコレート』のパッケージデザイン4つの要素
(1)デザインにバラを使う
(2)商品がバラの形
(3)ゴッホの絵を使う
(4)美術館の許可をもらう

バラを中心としたパッケージデザインとバラの形をしたチョコにすることで「高級感がアップ」し、ゴッホのバラの絵をわざわざ美術館から許可をもらって活用することで「特別感がアップ」します。

つまり、上記の4つの要素がすべて「特別感・高級感」の向上につながっているわけです。だからこそ、パッケージデザインによる「特別感・高級感」の向上を実現できています。これが差別化の強化につながっているのです。

では、こういったことを御社の商品で実現するにはどうすべきでしょう?

『ゴッホ<ばら>チョコレート』のパッケージデザインからヒントを得るとしたら、私は2つのヒントがあると考えています。

1つは、「特別感・高級感」というような差別化の軸を決めること。なにで差別化するのか?がないと、差別化はできません。

そしてもう1つは、その軸を実現するためのデザイン要素のアイディアを出し合うこと。これはパッケージデザインだけでなく商品コンセプトなども関連するため、アイディア出しが非常に難しいですが、軸が1つ決まっていると、アイディアは出しやすくなるでしょう。

素人レベルで恐縮ですが、軸の例としては、「特別感・高級感」だけでなく、「楽しさ、ワクワク、ドキドキ」などもあるのではないでしょうか?だとすると、どんなデザイン要素が「楽しさ、ワクワク、ドキドキ」を強化するでしょうか??

例えば、パッケージを開けたら、飛び出す絵本の様な仕掛けがあるなども1つの「要素」になります。デザインだけにこだわらず、機能性も要素の1つになりえます。

要するに、パッケージデザインやパッケージの機能にひと手間加えて、軸を少しでも強化できるようにする、これが差別化の強化につながると思います。

当たり前といえば当たり前のことなのかもしれませんが、日々の忙しさに追われ、このひと手間を忘れている・・・そんな気がします。もう一工夫、してみてはいかがでしょう?ただし軸がぶれないように工夫してくださいね!

<写真URL>