パッケージの付加価値のつけ方が学べる「節分」のパッケージデザイン

かわいいデザイン
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自宅用から贈答用まで、広く用いられる菓子。手土産などにもよく選ばれ、大箱から小分けにされたものまで、実にバラエティに富んだ菓子があります。それ以外に、季節やイベントによって、その時期のみ販売される菓子もあるでしょう。節分の福豆は、その代表格といえます。

ここでご紹介するのは、銀座あけぼのの『福豆 小袋入り』。もちろん中身は福豆ですが、年に一度のイベントを楽しむために、パッケージにも工夫されています。節分の豆まきといえば、やはり家族で盛り上がるもの。福豆も子どもから大人まで喜ばれるパッケージなら、その楽しさもより強まるはずです。

パッケージ紹介「福豆 小袋入り」

節分といえば、やはり“豆まき”を思い浮かべる方が多いはず。鬼の面を被ったお父さんに、子どもたちが豆を投げる姿は微笑ましいものです。

では、なぜ豆まきを行うのか。

これは福を呼び込み、そして邪気を外へ追い出すという意味で行われています。「鬼は外、福は内」という掛け声からも、そのことが分かるでしょう。そのため福豆といえば、鬼を描いたパッケージの商品が多く見られます。

『福豆 小袋入り』も、全面に鬼の絵が描かれています。

パッケージの写真はこちら

手には棍棒を持ち、なぜか左に目線を送る鬼。鬼といえば“怖い”というイメージがありますが、この鬼はどこか愛くるしく、親しみを感じられます。

裏面には説明書きが。「もっと気軽に豆まきのすすめ」という一文からは、『福豆 小袋入り』が、より豆まきを身近に感じて欲しいという思いが伺えるのではないでしょうか。

そのまま撒ける小袋入りだから豆まきのあとにおいしくお召し上がりいただけます
パッケージの鬼を的にすれば鬼役いらずで、豆まきをお楽しみいただけます

パッケージから引用「もっと気軽に豆まきのすすめ」

パッケージを的代わりにすることで、鬼役がいらない、たったこれだけのことですが、パパとママと一緒に豆まきができる、そんな節分のワンシーンをパッケージで提案しているように思えます。

このパッケージ戦略に関する個人的見解

豆まきという目的だけならば、パッケージにこだわる必要はないでしょう。それでも、なぜ可愛らしい鬼の絵をパッケージにデザインしているのか。それはきっと、子どもから大人まで“豆まき”という文化を大切に、楽しんでほしいという思いが込められているような気がします。「もっと気軽に豆まきのすすめ」という一文が加えられているのも、豆まき文化を楽しんで欲しいという思いの表れでしょう。

銀座あけぼのの公式サイトを見てみると、次のような一文が書かれていました。

「創業以来 時代やお客様の好みの変化とともに
つねに新しいことに挑戦し 喜んでいただくことで
今日までやって参りました
お菓子が満たすのはお腹ではなく心
今を生きるお客様の心を満たしつづけること
それが私ども銀座あけぼのの仕事です」

銀座あけぼの公式サイトより引用】

古くからある伝統行事に対する関心もまた、お客様の好みと同様に変化していることでしょう。だからこそ、「どうすれば人々が喜び、豆まきを楽しめるか」を考えている、そんな背景が『福豆 小袋入り』のパッケージから感じられます。

このパッケージ戦略から学べること

このパッケージから「パッケージデザインによる付加価値のつけ方」を学ぶことができます。ご紹介した、銀座あけぼのの『福豆 小袋入り』ですが、パッケージに鬼の顔をデザインし、そして、そこに「パッケージの鬼を的にすれば鬼役いらずで、豆まきをお楽しみいただけます」という一文があります。

これは、福豆を購入した後、豆まきをするという「顧客の利用シーン」に合わせて、パッケージに付加価値をつけ、提案しているといえます。つまり、「捨てられるだけのパッケージ」ではなく、購入後、「的代わりとして活用されるパッケージ」として提案しているわけですね。これが付加価値になっています。

これをあなたの商品に応用するとどうなるでしょうか?あなたの商品、お客様が購入されたあと、どのように活用されていますか?その点に着目して、パッケージデザインを考えてみてください。

たとえば、父の日、母の日のギフトとして使われるなら、パッケージに感謝のメッセージを書き込めるようにしておくだけでも、パッケージの活用提案になります。加えて、感謝のメッセージがかかれているパッケージは「捨てにくい」パッケージになるので、保管される可能性もありますね!

こうやって購入後の活用シーンに合わせて、パッケージデザインを工夫することで、ちょっとした付加価値がつけられます。こういったパッケージは「紙」だからこそできるので、ぜひ紙の特性を生かしたパッケージの付加価値を考えてみてください。