食べ物や飲料、さまざまな日用品などを魅力的に包装するパッケージ。その形状は三角形や台形、丸型やひし形などさまざまですが、やはり定番の形といえば正方形や長方形などの四角い箱型でしょう。今回ご紹介するパッケージは、そんな箱型の中で“究極”と言っても過言ではないかもしれません。それが、京都で1882年より暖簾を掲げる老舗和菓子屋「塩芳軒」の三段たんすのお菓子パッケージです。
パッケージ紹介
<塩芳軒HP 千代たんす >
数種類の干菓子を詰め込んだ「千代たんす」は、世にも珍しいたんす型のパッケージが特徴的な一品。まるで本物のたんすの縮尺版とでもいうべき完成度の高さで、三段それぞれの引き出しには小さな取っ手まで付いています。
そして、この「千代たんす」の醍醐味は、味も見た目も異なるお菓子たちが次々と現れること。「中に何が入っているのだろう?」引き出しを一つずつ開けてゆく高揚感は、ほかのお菓子やパッケージでは決して味わうことができないものです。
気になる中身は、上段に大徳寺納豆が入った和三盆製落雁「小口」。中段にはコロンと丸いシルエットがかわいい梅風味の「梅鶴」。下段には和三盆でつくられた「さざれ石」と有平糖の「千代結」の2種類が詰め込まれており、非常にカラフルです。そられはまるで、とある着道楽なご婦人のたんすの中に所せましとひしめく、色とりどりの衣服や小物たちのよう。思わずうっとり見とれてしまうようなパッケージです。
分析と個人的見解
“たんす”といえば、現代の家庭で実際に使われるのは素朴な風合いの木製ダンスや、プラスチック製の無機質なものが大半でしょう。しかし「千代たんす」は雰囲気が一転、どこか工芸品のような美しさと気品を備えていることに気がつきます。
なぜなのか。それはやはり、この「千代たんす」の表面を覆っているのが和紙であるからにほかなりません。はっと目の覚めるような鮮やかな赤色に、緻密で上品な鹿の子柄。この鹿の子柄とは小鹿の背中の白い斑点に似た模様のことで、着物や浴衣や作務衣などの和服にもしばし使われることで知られます。一説によれば、鹿の子は「子孫繁栄」を象徴する柄なのだとか。まさに日本人が古くより愛し、受け継いできた伝統模様なのです。
取っ手、そしてたんすの引き出しを開けた側面部分を彩る金色も、赤い和紙を引き立てる差し色として効果を発揮。パッケージを、より堂々と風格あるものに仕上げています。
「千代たんす」の美しいパッケージには、SNSにも多くの反響が寄せられていました。
「「千代たんす」がかわいい」(@seitorayuunaさん)
「これお土産とかにいいなぁ」(@n_m_resさん)
「ホワイトデーに何あげたらええんじゃ〜、特設売場なんか恥ずかしくて行けんわ!という殿方、塩芳軒千代たんすにすれば良いのですよ」(@Mint_Leeさん)
「お返しするなら絶対コレだとおもったのが塩芳軒の千代たんすでしたので喜んで頂けて嬉しいです!」(@kikudukitarouさん)
お土産に買いたい人、大切な人へのギフトに推薦する人、実際にギフトとして贈ったことのある人など。「千代たんす」にまつわる想いやシチュエーションは、人によって実に多様なようです。しかし共通しているのは、やはりパッケージの美しさを賞賛する声でしょう。特にギフトとしては汎用性が高く、誕生日や記念日などのプライベートなイベントのほか、桃の節句やひな祭りなど季節の行事にもピッタリです。
中身をすっかり食べきってしまった後でも、たんすが手元に残るのがこのお菓子の嬉しいところ。細々とした文房具や小さなコスメなどを入れて使ったり、単に装飾品として部屋に飾っておいたりするのも良いでしょう。いずれにせよ、このパッケージは素敵な存在感を発揮してくれるはずです。
<塩芳軒HP>