“日本のシンボル”といえば、やはり富士山を思い浮かべるのではないでしょうか。標高3,776m。天に向かって力強くそびえたつ荘厳な姿はまさに芸術的な美しさで、2013年には「世界文化遺産」にも登録されました。その圧倒的な存在感で人々を惹きつけ、写真や絵画などさまざまなジャンルでも人気のモチーフとされている富士山。パッケージデザインにおいても、富士山にちなんだ商品は数多く存在します。
今回はそんな中から、季節によって表情を変える富士山の「春の日」を美しく表現した「春吉富士 富士山羊羹」のパッケージデザインをご紹介します。
パッケージ紹介
「春吉富士 富士山羊羹」の製造元は、“水の都”こと静岡県三島市にて富士山の「伏流水」で羊羹を製造する明治食品工業株式会社です。ちなみに、伏流水とは「富士山の雪解け水が長い年月をかけて濾過された水」のこと。ミネラルの一種であるバナジウムを多く含んでいて、とても美味しいお水なのだとか。
全6種類の羊羹の味は、茶色が小豆、緑色が青柚子、黄色がニューサマーオレンジ、桜色が桜葉、橙色がびわ、青色が塩。まるで天然石のように綺麗な色です。「富士山羊羹」の名の通り、富士山のかたちをしているのですが、お皿の上にあけると本物の富士山のようにそびえたつのもまた一興でしょう。
もちろん、パッケージも富士山にちなんだデザインです。パッケージ表面に大きく配された富士山。その左下(裾野の部分)に差込がついていて、パカッと開く仕様になっているのが面白い。一見して「せっかくの富士山が半分しかないのはなぜ?」と感じるかもしれません。しかしそれは、この富士山がフタの役割を果たしているからなのです。
分析と個人的見解
富士山を思い出すとき、青空を背景に凛と佇む映が思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか。しかし、このパッケージは“春の日の富士山”がコンセプト。背景の空は春らしく淡い桃色に染まっています。そして、富士山の手前にかかっている薄紫色の雲にも注目です。春といえば、紫の雲。なぜかといえば、「枕草子」の有名な一節「春はあけぼの(略)。紫だちたる雲の細くたなびきたる」にも登場するから。作者である清少納言は「春の美しさは、空が明るくなるころ(明け方)である」言っていますが、このパッケージも、もしかしたらそんな時間帯をイメージしてつくられたものなのかもしれません。パッケージを眺めているだけで、そんな想像が膨らんできます。
また、春を代表する花「桜」が描かれているのも素敵です。満開の桜、よく見るとハラハラと散っている桜まで描かれているのが情緒的。また、うららかな春の日のほんの一瞬を切り取ったかのような絵柄は、はっと息をのむような臨場感です。春、富士、そして桜。縁起の良いモチーフばかりが詰め込まれていて、幸せな気持ちになるデザインではないでしょうか。
可愛さと温かさに満ちたこのパッケージは、Instagramでも多くの反響を呼んでいます。
「これは富士山の和菓子になります。「春吉富士」美しいなぁと思い購入。楽しみの1つになると良いと思い、親にプレゼントしてきました。喜んでいましたよ」(@yukie.whiteさん)
「お土産 富士山の形の羊羹 オシャレで可愛い」(@bakerycaferosettaさん)
「一目惚れ 色が綺麗 すごくない? 思わず買ってしまった 箱も可愛い」(@bukotonsさん)
「見た目よし。味もよし。素敵なお土産ありがとうございます」(@73_noriさん)
「「春吉富士(はるよしふじ)」は色がきれいで春らしいパッケージだね。いろんな味が楽しめるんだって‼️どれから食べるかまよっちゃうなー おみやげに貰ったらうれしいね テンションあがるね‼️」(@fujikawa.sa.dlさん)
実はこの富士山羊羹には、2019年に開催された「ふるさと祭り東京」で「おみやげグランプリ2019」の「フード・ドリンク部門」準グランプリを獲得した実績が。まさに、日本が世界に誇る商品と言えるのではないでしょうか。きっとこの素敵なパッケージデザインも、この結果に一役買ったに違いありません。