商品の付加価値と商品力を高めるパッケージデザインアイディア

ブランドを高めるデザイン
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子供たちが思い思いの絵を描く姿は、見ていて微笑ましいもの。お絵かきの道具には、絵の具やクレヨン、色鉛筆など、色んなものがあります。「絵を描く」だけでも楽しいですが、使う道具が可愛ければ、もっとお絵かきが楽しくなるのではないでしょうか。

今回ご紹介する『おやさいクレヨンStandard』は、書き心地や素材のみならず、見た目のパッケージデザインにもこだわったクレヨン。見ているだけでワクワクし、つい「何か描いてみようかな」なんて気持ちが湧き上がってきそうです

パッケージデザインの紹介

優しい緑色の、まるで文庫本のような箱。表紙には「おやさいクレヨン」という商品名と共に、可愛らしいクレヨンのイラストが描かれています。一見すると、クレヨンの箱とは思えないようなデザインです。

パッケージ画像

箱の蓋を開くと、そこには10本のクレヨンが上下5本ずつ並んでいます。Standardで揃うのは、緑や黄色をはじめとした定番色です。国産のお米、そして野菜を使って作られているという『おやさいクレヨン』。蓋の裏には、そうした『おやさいクレヨン』シリーズのこだわりについて、説明が添えられています。

さらに箱だけでなく、クレヨンの包み紙も少し他とは違います。色の名前の変わりに、包み紙へ書かれているのは野菜の名前。例えば緑色は「ねぎ」、黄色は「とうもろこし」、紫色は「むらさきいも」など。それぞれ、実際の色味に合った野菜の名前が付けられています。

このパッケージデザインに関する個人的見解

クレヨンを使って、頭に描いた絵を表現する。そんなワクワクする体験、恐らく多くの方々が小さい頃に経験していることでしょう。

「どの色を使おうかな」
「この色で何を描こうかな」

なんて、クレヨンを見つめながら想像を膨らませたものです。しかしそのクレヨンの名前が、色ではなく野菜だったら。「とうもろこしで、お月さまを描いたよ」なんて、ちょっと変わった会話が生まれるかもしれません。パッケージを見ながら、使うクレヨンを選ぶことさえ楽しくなりそう。もちろん小さなお子さんなら、お絵かきを通じて野菜の名前を覚えるキッカケにも繋がるでしょう。

この製品には、お米や野菜の粉末が使用されています。だからこそ「野菜の名前」というコンセプトに繋がったのかもしれません。このコンセプトには、SNSでも好評価が寄せられていました。

「おやさいクレヨン、色合いも優しいしコンセプトもときめく。色の名前がやさいって素敵」(@momoro66さん)
「お野菜クレヨンのおやさいのいろのなまえがかわいい」(@ro5mo5さん)
「おやさいクレヨン、優しい色合いですよねー♪描くのたのしかったです!」(@mizutamahancoさん)

さらに公式ホームページを見ると、次のようなメッセージがありました。

「だれも知らなかった色、自然そのもので描くという世界観を、ぜひお楽しみください。」(おやさいクレヨン公式ホームページ )

赤、青、黄色など。よくある色ではなく、あくまで“野菜”によって生まれる色味は、通常のクレヨンとまた違ったものなのかもしれません。それは、つまり私たちの生活において身近な、まさに自然の色。手に取ったクレヨンと自分の描いた絵を見比べながら、

「ねぎって、こんな色なんだ」

なんて発見がある。さらに好奇心が引き立てられ、本物のねぎを見比べるなんていう子供の姿も浮かんでくるような気がします。

箱のデザインもまた、机に置いておきたくなるような可愛らしさ。机の引き出しにしまってゴチャゴチャ…なんていうことも、このデザインならなさそうです。自宅用はもちろん、プレゼントとしても喜ばれるデザインではないでしょうか。

このパッケージデザインから学べること

「おやさいクレヨン」のパッケージですが、2つの大きな工夫があると考えています。

1つ目は、パッケージが本の形をしていることです。これにより、「保管ししやすい」「小さなお子さんが大事にする」というような効果が得られるでしょう。

2つ目は、パッケージの背景イラストです。「おやさいクレヨン」のパッケージですが、もう一度よくご確認ください。

パッケージ画像

クレヨンが入っている場所の背景のイラストですが、まるで「牧場」や「野菜畑」を連想させるイラストになっています。そしてそのイラストにあわせて、様々なおやさいクレヨンが並んでいます。これは、まるで野菜畑を連想させるデザインになっています。

では、なぜこのような工夫をしているのでしょうか?ここからは、推測でしかありませんが、「商品の付加価値を高めること」を狙っているのではないでしょうか?

まず、お子さんがお絵描きするシーンを考えてみましょう。楽しそうに動物などをのお絵描きをし、家族団欒の楽しい時間を過ごします。

そして、楽しい時間が終わったら、「クレヨンの後片付け」という、子供が苦手な仕事が待っています。ママが「後片付けしなさい」といっても、子供は次の遊びに夢中でなかなか片付けをしないこともあるでしょう。

しかし、この時、ご紹介した2つの工夫点が子供の後片付けを後押しするのではないかと考えられます。

なぜなら、面倒な後片付けが、本の中にある野菜畑に「大切なクレヨンを片付ける」という楽しい後片付けになるからです。その結果、ママは子供に片付けしなさいと怒鳴る必要もなくなり、子育ても楽しくなるのではないでしょうか?

このように、たった2つの工夫ですが、ママにとって、ちょっと後片付けが楽になる、そんな付加価値を生み出しているパッケージアイディアになっているように思います。

こういった小さな工夫が、長く楽しく使ってもらえるクレヨンとなり、商品の価値をより高めているのではないかと思います。商品だけでなく、パッケージの小さなこだわりが読み取れた、本当に素晴らしい商品だと思います。

あなたの担当する商品でも、利用シーンの前後も含めて、パッケージデザインを考えてみてはいかがでしょうか?