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2022年1月19日

ホテルのコンセプトを見事に具現化 レトロ可愛いブック型パッケージ

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東京千代田区・神田駿河台の高台にたたずむ「山の上ホテル」。今回は、このホテルで販売されているオリジナルスイーツの一つ「フィナンシェ」のパッケージをご紹介します。文庫本サイズのブック型という非常にシンプルなパッケージですが、なぜ焼き菓子のパッケージが「本」を模したデザインなのでしょうか。その秘密は、このホテルがこれまでに多くの文化人に愛されてきた歴史にありました。

パッケージ紹介

お菓子などのパッケージで、ときどき見かけるブック型のパッケージデザイン。しかし、こちらのパッケージのように「ブックケースつき」のデザインとなると希少です。本物の書籍でいえば、ブックケースがついているのは辞書や辞典などでしょうか。この「フィナンシェ」のパッケージも、そういった書籍を手にしたときに感じる「分厚い本を取り出すときの高揚感」をよみがえらせることを意図して作られたそうです。

柔らかなブラウンのブックケースの中身は、本に見立てたクリーム色のボックス。全体的に落ち着きのある色合いがレトロな美しさを感じさせます。本屋に並ぶ本のように、帯が巻きついているのもまた特徴的です。

さらに、内封されているショップカードは「しおり」に見立てたデザインだそう。細部にまでこだわって、「本」を再現しようとしているのが伝わってくるパッケージデザインです。

分析と個人的見解

「フィナンシェ」は「書斎シリーズ」と銘打たれた同ホテルオリジナルスイーツの一つですが、ホテルのスイーツになぜ書斎なのか疑問に思われるかもしれません。もちろん、これにはきちんとした理由があります。

ホテルの最寄り駅でもある「御茶ノ水」といえば、出版社が多く建つ「神田」や「神保町」に近い地。そのおかげで、創業当初より“文化人のホテル”として親しまれてきたという歴史はあまりにも有名です。かの川端康成や三島由紀夫、池波正太郎などの文豪に愛されたほか、数多くの作家がここで「カンヅメ」になり執筆活動に励んだといいます。また、ホテルの公式ホームページには、その歴史の一端に触れている文章も掲載されていました。

「メールもファックスもない時代には、締切前になると、ホテルロビーには原稿を待つ出版社の方々で溢れかえっていたそうです。また、かつて芥川賞を受賞した作家たちがほとんどここで受賞後第一作を執筆するという「文化人のホテル」としても知られます。」

(山の上ホテル公式ホームページより https://www.yamanoue-hotel.co.jp/concept/

また、三島由紀夫はこのような言葉を残しているとも書かれています。

「東京の真中にかういう静かな宿があるとは思わなかった。設備も清潔を極め、サービスもまだ少し素人っぽい処が実にいい。ねがはくは、ここが有名になりすぎたり、はやりすぎたりしませんやうに」

(山の上ホテル公式ホームページより https://www.yamanoue-hotel.co.jp/concept/

「フィナンシェ」を含む「書斎シリーズ」のパッケージ制作を担当したのは、これまでに数々のデザイン賞を受賞し、世界的に活躍する人気デザイナー佐藤オオキ氏率いるデザインオフィスnendoです。佐藤氏はホテルのリニューアルに合わせて、オリジナルスイーツのパッケージを一新する際に商品ごとにバラバラだったデザインを「書斎」というモチーフで統一。「文化人に愛された」というホテルのコンセプトを見事に具現化した素晴らしいパッケージに仕上げました。

このパッケージには、Twitterでも多く称賛の声が上がっています。

「数々の文豪に愛された山の上ホテルならではのギフトですね」(@littleroomsjpさん)

「再利用したくなるクラシックなデザインが魅力的!」(@haconiwa_magさん)

「文豪たちに愛されたホテルならではの世界観で、とても良いなぁ」(@kobamiho52cさん)

「ブックケースのフィナンシェとか…。空いたらなにに使おう」(@m_kotonariさん)

中身を食べ終えた後は、小物入れとしても使える仕様も素敵なポイント。飲料容器古紙などのリサイクル素材を原材料に使用しており、環境にもやさしいパッケージなのだそうです。お菓子を食べた後も捨てず、パッケージまで無駄にしない。本物の本のようにいつまでも手元に置いておける、あらゆる面で文化的なパッケージと言えるでしょう。

<写真URL>

https://www.yamanoue-hotel.co.jp/shop/products/detail50.html

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