商品情報を「読ませる」デザインアイディアをスイカを題材にしたパッケージから学ぶ

魅力・こだわりを伝えるデザイン
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夏の美味しい食べ物として代表的なスイカ。スイカはシトルリンやカリウムなどの栄養が豊富で、身体にも良いとされている食べ物です。そんなスイカの栄養を凝縮した『すいか糖』は、健康食品として多くの方々に愛用されています。
健康食品といえば、もちろんその栄養価や期待できる効果が重要でしょう。しかしどうせ買うのであれば、見た目のデザインもこだわりたいところ。今回ご紹介する東下組の『すいか糖』は、そんなパッケージデザインにもこだわった商品です。

パッケージデザインの紹介

東下組の『すいか糖』は瓶詰めで販売されています。この瓶は透明で蓋は金色。オーソドックスなものといえるでしょう。しかし面白いのが、この瓶を包んでいる包装パッケージです。丸い瓶部分を緑色の紙で包、上のフタ部分は白色の紙で覆う。その2つの包装紙が紐で縛られています。蓋上の部分には製品名が書かれた、シンプルながら可愛らしいデザインです。

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しかしこの製品、包装紙の内側にも工夫が施されています。紐を解いて包装紙を開くと、瓶部分を包んでいた緑色の包装紙は、内側が赤くなっているのです。

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外側が緑色で、中身が赤い。まさにスイカの色合いと同じデザインとなっています。さらに赤い部分には、商品に関する情報が黒文字で記載されていました。この文字が、遠くから眺めると、まるでスイカの種のように見えます。

なお、こちらのパッケージデザインは『Roooots × 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012』でアジアデザイン賞・金賞も受賞しています。このことから、越後妻有の自然や食を表現するデザインとして認められたパッケージデザインであることが分かります。

このパッケージデザインに関する個人的見解

健康食品と言うと、棚の中などにしまって必要なときだけ取り出すという方は多いでしょう。しかし東下組の『すいか糖』は見た目にも可愛らしく、卓上に置いておいても違和感がありません。スイカというデザインから、夏場にはお土産にも良いのではないでしょうか。

本商品を販売しているオンラインストアを見てみると、パッケージデザインについてクリエイターからのコメントが記載されていました。

「パッケージは、包みの祈り、紐の製作と結び、そして加工の証である押印を手作業で行うことによって、商品性を豊かに伝えていくことを目指しました。すいかのように見える包みは、ひらくと実のような赤色が現れます。そこには商品の情報が種のように黒々と記されています。」(ECHIGO-TSUMARI ONLINE SHOP )

手作業という包装工程にまでこだわったパッケージ。文字を種としてデザインに盛り込むことで、商品情報の解説すら、そのデザインを一切妨げません。むしろ黒い文字があるからこそ、パッケージデザインがスイカとして表現度の高いものとなっています。

また、包装パッケージを開くと、その包装がまるで瓶の受け皿のように広がります。真っ赤な包装の中に置かれたすいか糖の瓶。まるで、すいか糖がスイカの中身すべてを凝縮した“中身”とも言える商品であることを、見た目から表現しているかのように思えます。

手のひらに乗るサイズ。そして包装パッケージを解く前、解いた後の両方で楽しめるデザインは、お土産やプレゼントにも喜ばれそう。パッケージ外側の緑色も落ち着いた色合いで主張しすぎないため、棚やテーブルに置いておくと、ほどよいアクセントとして彩りを添えてくれるのではないでしょうか。

このパッケージデザインから学べること

このパッケージデザインから、商品情報を「読ませる」デザインアイディアを学ぶことができます。

一般的に、パッケージといえば、外側(お客様から見える部分)に商品情報が印刷されており、開封前にある程度情報を知ることができるようになっています。

しかし、この東下組の『すいか糖』は、パッケージの裏側に商品情報が記載されているのです。これにより、開封時に下記のような効果が期待できるのではないかと推察できます。

(1)お客様が東下組の『すいか糖』を購入
(2)自宅で開封
(3)真っ赤なデザインが目の前に広がり、アイキャッチされる
(4)ふと気がつくと、種のように商品情報が記載されている
(5)なんだろうと気になって商品情報を読み始める
(6)ビンの蓋をあけて東下組の『すいか糖』を食べる

購入から、開封、商品情報の確認、そして食べるまでの一連の流れがうまく君立てられているように思います。食べる寸前で、商品情報を読ませて、食べる楽しみをさらに増大させているのではないかと思えるくらいの工夫です。

このように考えると、法律の範囲内であれば、商品情報をパッケージの外側に掲載する必要性もないのではないか?とも思えます。

お客様がどういう風にパッケージを開封し、どういうタイミングで商品情報を確認したいのか?などを考えた上で、パッケージデザインを立案すると、また違った工夫が企画できるかもしれませんね。