新潟に伝わる民話「雪童」をモチーフにした心温まるパッケージデザイン

かわいいデザイン
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「雪童」という言葉をご存じでしょうか。「雪女」でも「雪男」でもありません。「雪童子」と書いて「ゆきわらし」と呼ばれることもあるのだとか。実はこれ、新潟県に古くから伝わる民話の一つなのです。
この地に店を構える越乃雪本舗大和屋さんが販売しているのは、雪童をモチーフにしたパッケージのお菓子「越後雪んこ」。昔懐かしいテイストに隠された、このパッケージの秘密を探っていきましょう。

 
(※今回ご紹介する「越後雪んこ」は越乃雪本舗大和屋さんに短期間限定にて販売されている”旬菓”の商品で現在は販売を終了しております。)
 

 

 

パッケージ紹介

新潟県に伝わる「雪童」。ほとんどの方は聞いたことがないかもしれませんが、ストーリーは次のようなものです。

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あるところに心優しい老夫婦がいた。子のないふたりは寂しさを埋めるために、雪で子どもの像をつくった。ある晩、夫婦の家に一人の子どもが飛び込んで来た。ふたりは喜び、その子を可愛がって育てたが、子どもは春が近づくとやせ細り、いつの間にか姿を消してしまった。一年が過ぎて再び冬になると、また同じような雪の日にあの子どもがやって来た。しかし春になるとやはり姿を消してしまう。同じことが数年続いたが、ついに子どもは現れなくなった。もしかするとあの子どもはかつて自分たちがつくった雪人形だったのかもしれない、と老夫婦は思いあたる。神様が自分たちを慰めるために、子どもに姿を変えた精霊を寄越したのだろう。子どもは二度と現れなかったが、ふたりの心にはいつまでも楽しい思い出が残ったという。
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なんとも心温まるお話です。「越後雪んこ」のパッケージも、そんな優しい世界観を見事に表現しています。ドーム型のかまくらの中に入っているのは、三人の雪童。雪童たちは赤い着物の子、青い着物の子がいて、それぞれが藁頭巾をかぶっています。この絵柄からすると女の子のようにも見えますが、どうなのでしょうか。同店の公式Twitterによれば、顔のバランスにもっとも時間がかかったとのこと。パッケージの要でもある雪童ですから、キャラクターをデザインするにあたっては、さまざまな意見交換や細かい調整が行われたのかもしれません。

雪童の中身は、柚子風味の白餡を包んだ焼きまんじゅう。昔ながらの素朴な味わいがパッケージとよくマッチしています。お饅頭の表面に、雪童の焼き印が押されているのもキュートです。

 

 

 

分析と個人的見解

よく見ると、かまくらのてっぺん(つまみ部分)に雪ウサギが乗っていたり、かまくらに雪の結晶の絵が描かれていたり。とにかくデザイン性の高いパッケージと言えるでしょう。しかも箱(かまくら)を完全に開くと、内側にもイラストと文章が印刷されており、細部にまで「新潟」のアイデンティティを感じられます。雪国の遊びや日々の暮らしに欠かせない「蓑笠」や「こしき」といった道具の数々が描かれているかと思えば、民話「雪童」が新潟弁で記されているものも(新潟弁は注釈付きで誰でも簡単に読むことができます)。新潟弁では「かなり」のことを「こって」というようで、「“こって”やさしいじさとばさ」「二人は童を“こって可愛がった”」などという風に書かれています。

この可愛さと温かさに溢れたこのパッケージは、SNSでも多くの反響を呼んでいます。

「とっても可愛くてほっこりします」(@ai_cocoronohoshitabiさん)
「可愛すぎるし美味しそう 絶対食べてみたいですねー」(@elichoi0521さん)
「お取り寄せしたいくらいめちゃ可愛い」(@tankomochanさん)
「なんというかわいいパッケージにおいしそうなお菓子 素晴らしいです」(@Sweetbrownhawaiiさん)
「可愛らしいですね!!是非購入したいです」(@andama10さん)
「可愛らしくてお味も美味しそう お取り寄せ可能ならしたいです」(@naco_ichigoichieさん)
「東北の実家を思い出します」(@ystarwars.pocさん)

 

雪国出身の人にとっては、里心がついてしまうような思い馳せる魅力のデザインです。