スーパーやコンビニエンスストアに陳列されているお菓子や飲み物を見ることで、季節の移ろいを感じられることがあります。例えば、夏真っ盛りの頃によく見かけた「スイカ」などのフレーバーがいつの間にか姿を消し、かわりに「栗」「さつまいも」などの絵柄がプリントされた商品がちらほら並んでいるなど。中には季節限定の商品もあり、楽しみにしている方は多いかもしれません。
今回は、夏の風物詩の一つでもある「花火」にまつわるパッケージをご紹介します。花火の町として知られる「新潟県小千谷市片貝町」にちなんだお菓子「玉花火」のパッケージは、”打ち上げ花火の筒” がモチーフ。夏という季節がもつ美しさ、夜空に勢いよく打ちあがる花火の力強さを表現したパッケージデザインについて、詳細に見ていきましょう。
パッケージ紹介
世界一とも言われるほど大きな4尺玉花火が打ち上げられる、小千谷市片貝町の「片貝まつり」。そこに120年以上も店を構えている老舗菓子店・本丸池田屋が販売する銘菓「玉花火」は、花火に見立てた5色の羊羹を内包する花火筒モチーフが楽しいパッケージです。
片手で握れるほどの細い灰色の丸筒。白文字で「玉花火」と大きく文字が入っているほかは、全体に横線がうっすらプリントされているだけのシンプルなパッケージになっています。しかし実は、これが「片貝まつり」で使われている本物の花火筒そっくりのデザインなのです。
筒の下方に、同じく白文字で「池田屋」との名前が入っているのも注目したいポイント。筒のてっぺんの蓋部分には薄い赤紙が貼られており、「火気厳禁」とこちらにも白文字が書かれています。本物の花火らしさに溢れていて、思わずうなってしまうデザインです。
分析と個人的見解
蓋を開けると、5つの花火玉が順に中から出てくる様子がユニークなこのお菓子。本物の花火が打ちあがる仕組みをそっくりそのまま再現しているようで、なかなか奥が深いパッケージです。ホームページを見てみると、次のような説明が記載されていました。
「思いの丈を込めて打ち上げられる片貝まつりの花火はどんどん有名になり、その姿を一目見ようと毎年多くの観光客が来るようになりました。ちょうどその頃、四代目の本田要之輔は、時代の変化に伴い、大量生産、低価格品が流通したために本丸池田屋の煉羊羹の需要は下がるばかりと頭を悩ませておりました。そこで、片貝名物である片貝羊羹と、観光資源である花火を掛け合わせた銘菓『玉花火』の発案に至りました。試作期間は10年程と非常に長くかかりましたが、平成元年に発売以後長きに渡り親しまれています。」
(池田屋ホームページより)
当時の店主(四代目)は、羊羹の需要が下がったことに頭を悩ませていたとのこと。これを受け、町の名物である「片貝羊羹」と「花火」をかけあわせたお菓子を考案したのだと言います。そして、10年もの試作期間をかけて発案したのが、この「玉花火」なのだとか。ふるさとを愛する気持ち、古き良き食文化を守りたい想い、そして花火への誇り…。そんな愛情や情熱が、このパッケージデザインからも伝わってくるかのようです。
このパッケージデザインはテレビをはじめとした各種メディアで大反響を呼び、SNSにも次のように多くの称賛の声があがっています。
「今年も花火大会なかったなぁ これ食べて観たことにしよっと」(@ef._.kawaさん)
「花火のように見えてお菓子
中には玉花火
食べ方、楊枝で
ブスブスブスって
刺すとツルってむけます。終わった容器は貯金箱になる
これでお金がじゃらんじゃらんたまりまっせ
たぶん無理」(@musan0073さん)「花火玉をモチーフにした玉羊羹
お味は赤小豆、柚子、いちじく、抹茶、梅の五種
とあるフォロワーさんが『8月もあと少しなので夏らしい物を』と夏らしい和菓子を投稿してはるのを見て前に撮ってた夏らしい和菓子の一枚を投稿し忘れてる事に気がつき慌てて投稿しました」(@ssoorraaさん)「玉花火のお菓子の方は新潟のお菓子
夏の終わりっぽくなってきてちょっと寂しいなぁ」(@dino.dino.dinoさん)「毎年恒例の片貝まつりに行ってきました
やっぱり四尺玉は感動しますね〜
言葉になりません…グッと心にきます
かわいいお土産を見つけたので記念に即買い」(@sakuramochi0913さん)「今年は行けなかったのでお土産の#玉花火」(@naosan_okaさん)
ちなみにこの花火筒、食べ終わった後にはなんと500円玉貯金箱としても使えるそう。
満タンまでお金を入れると、本物の尺玉花火の打ち上げ費用が貯まるそうです。一体、いくらくらいなのでしょうか…気になります。見て楽しい、使って楽しい。そんな、唯一無二のパッケージと言えるでしょう。
<本丸池田屋 玉花火 筒入れ 商品ページ>