旅先で、つい手にとってしまうのが“ご当地お菓子”。例えば「●●の名水を使った……」「●●年続く伝統の製法でつくられた……」などと書かれていれば、「ここで買わなきゃ損をする!」なんて気持になるものです。パッケージもスーパーなどで流通している商品に比べて、ちょっと変わったこだわりのデザインが少なくありません。まさに “レア感”が満載であり、その特別感から「旅の記念に」とつい買ってしまうのでしょう。
今回ご紹介する「モナスク」もそんな“ご当地お菓子”の一つ。北海道の歴史的名所「五稜郭」をモチーフにしたお菓子の、個性的なパッケージデザインを見ていきましょう。
パッケージ紹介
北海道北斗市の人気ケーキ店であるジョリ・クレールが販売する「モナスク」は、最中の皮の中にサブレ生地を入れたお菓子。最中でありながらもラスクのようなサクサクの触感が味わえることから、この名がつけられたのだとか。お菓子自体は星形をしていて、これは「五稜郭」のカタチを表現しています。
五稜郭といえば、北海道が誇る観光地の一つです。ガイドブックや資料を片手に、訪れたことがある人も多いのではないでしょうか。モナスクのパッケージも、そんな歴史的名所にふさわしく非常にアカデミックなデザインです。見た目はガイドブック風、あるいは辞書風ともいえるブック型をしています。
表紙には、ぎっしり印刷された英文が。よく読むと、販売元の店やお菓子についての悦明が書かれていました。横書き文字の本をイメージしているためか、右から左に向けてページをめくっていく左開きになっています。
そして表紙の下半分には、五稜郭の写真とともに日本語で大きく「五稜郭」の文字も。この部分は、書籍でいう「帯」を再現したもの。本をめくる(開く)とお菓子を取り出せる仕組みになっているあたりにも、パッケージが本らしさにこだわって考えられたことが感じ取れます。
分析と個人的見解
五稜郭とは、現在の函館市に建設された日本初のフランス築城方式の要塞。旧幕府軍と新政府軍の戦い(箱館戦争)の舞台にもなった場所です。こういう史実は、よほど歴史好きだったり博学だったり、あるいはお城マニアな人でもないと、漠然とした知識しかないでしょう。その点、このパッケージが面白いところは、裏表紙にそういった詳しい説明文がきちんと載っているところ。きっと手に取って、「なるほど」と読み込んでしまうのではないでしょうか。美味しくて、勉強にもなる。旅のお土産に知人・友人に送れば、パッケージを眺めるだけで会話が弾みそうです。
また、辞書にもガイドブックにも見えるパッケージですが、やはり「辞書」に近いでしょうか。なぜなら、背表紙が丸いからなんです。本の背のカタチが丸いものは「丸背製本」と呼ばれ、背の平らな「角背製本」に比べて厚い本でもページを開きやすく読みやすい、繰り返しの使用に耐えられるといったメリットが。これが、辞書などに多く用いられる製本なのです。
そんな、本らしさをとことん追求したこのパッケージデザイン。Instagramでも、多くの反響が上がっていました。
「最中とラスクーー!箱も好き」(@mr.beans1022さん)
「モナスクっていう、最中とラスクが一緒に楽しめるお菓子(中略)パッケージの本型の箱もちょっと面白い」(@onkonominさん)
「サクサク軽いモナカに アーモンド生地の ラスクのようなパイのような 食感が和も洋も感じる 美味しいお菓子 パッケージが辞書のようで 読んでも食べても楽しい」(@_hananoiro_さん)
「まるで本みたい な箱 こういうの捨てられない」(@gyopankuzureさん)
モナスクには、ほかに「箱館奉行所」「金森倉庫」「中空土偶茅空」など別の種類も。歴史や本、旅が好きという方は、ぜひコレクトしてみてはいかがでしょうか。
<ジョリ・クレール オンラインショップ>